2015年4月9日木曜日

呉善花さんの書いた、「化粧するアジア」を、読んで読書感想を書きました。

呉善花さんの書いた、「化粧するアジア」を、読んで
2010年11月、私は下の通り、読書感想を書きました。
写真は、アジアの人も沢山、泊まりに来る
新宿ワシントンホテルの内部を、撮ったもの。

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読書感想文(化粧するアジア・・・呉善花)

呉善花さんは1956年、韓国の済州等に生まれ、
<今は拓殖大学の教授をしていて、
<日本で日本文化について、たくさんの本を書いています

呉善花さんは1956年、韓国の済州等に生まれで、
学生時代は4年間韓国の軍隊生活も経験しています。
その後アメリカに行きたいと思い、
その1ステップとして日本に来ました。

が、その日本に来て、呉善花さんも
普通の外国人のような日本を経験しています。
そしてそのまま日本に住み続け、
今では「日本の文化」の世界における新しい可能性を感じ、
日本に帰化するとともに拓殖大学の教授になりました。

「普通の外国人のような経験」というのは、
私が新聞で見聞したほかの外国人の日本経験と
同じ経験をしたということです。

つまり、最初は日本経験第1ステップ目として
日本の良さに感動し、それまでの韓国における反日教育は
なんだったのかと思いましたが、

しばらくすると日本経験第2ステップとして
日本人全般のよそよそしさに、
打ち解けないものを感じました。

そして、日本経験第3ステップとして、
もっと深く日本人を理解できるのにつれ、
日本を愛するようになりました。

呉善花さんは、
「日本の文化」の世界での拡がり・可能性を感じて、
韓国・済州島生まれの韓国人として、
日本の文化を研究するようになり、
著作もたくさん書いています。

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<韓国人と日本人>

私は呉善花さんの著作を読むのが、
日本人について(つまり自分を)知るのに役立つし、
勉強になるから好きです。

呉善花さんの本を読んで、
「日本のことについてそういう見方もあるのか」
「日本のことを正しく書けるのは韓国人ではないか」と
私は思いました。

呉善花さんも、そしてやはり韓国人の李御寧さんも、
日本人が持てない視点で、
日本を見ていると思います。

何しろ、韓国人の李御寧さんが書いた
「縮み志向の日本人」を、初めて読んだときは、
正しくかつ感情を交えずに、
ユニークな日本を書いているのに、
「この本は凄い」と私は思いました。

西洋の人が日本を書くと、正しい部分もあるが、
どこか違うのではないかと感じる部分があるのです。
が、韓国人が日本を書いた本には
納得してしまう自分がいました。

それでも韓国人として日本を見ると、
最初は違和感を持ったのでしょう。
「でも理解できれば、韓国人は
日本および日本人を深く理解できる」と、
私は韓国人を別な視点で眺めるようになりました。

普通の日本人も私も心の底に先祖から伝えられた、
独特な文化を持っているのだと思います。
だけど、その文化に自信も持てないので、
正しい人間としてのありかたについて、
ズーっと模索し続けているのが、
私たち日本人ではないでしょうか。

日本人全般は、自分は間違えているかも知れないと、
不安感を持っているような気がします。
日本人は全員が自分を変えつつある
(だからみんな少しずつ違う)、発展途上人なのでしょう。

どの日本人も違うと思います。
(少なくとも私たち日本人自身は、
全員が違っていると思っています)
だから、それをプラス思考で、しかも論理的に見てくれる、
韓国人の日本ウオッチャーの言葉はありがたいと、
感じたのだと思います。

間違っているかも知れないと思っているところに、
「そのまま生きて、
新たな自分を作り上げていけば良いのですよ」と
言われているようで、嬉しかった。
そう思います。

呉善花さんは、韓国で親日家として有名になりました。
これは寂しい現実ですが、
韓国で親日家は売国奴と同義だそうで、
呉善花さんも韓国および韓国人から嫌われています。

2007年、済州島でお母さんが亡くなって、
葬儀に出席のため済州島で
呉善花さんが韓国入国をしようとしたところ、
韓国から入国許可がおりずに、結局、
済州島の日本総領事館が動いて、
入れるようになる事件もありました。

私には、こういう状況から脱却できなければ、
韓国の成長はあるところで止まるのではないかと思います。
あまりにも感情的で子供じみているような、
苛めと似ているような気が、私はしました。
そして、私は韓国人がそう考えるのは、
韓国人として寂しいのではないのかと思っています。

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<私の呉善花さんとの出会い、
<呉善花さんへの感想、
<この本を読んだキッカケ

1990年、日本に来た韓国人ホステスを題材とした
「スカートの風」という本を書いたところから、
呉善花さんは有名になり、
その後たくさんの日本の文化に関する本を書いています。

そういう有名な呉善花さんの書いた
「わさびと唐辛子」という本を、
10年ほど前、区民図書館で見つけ借りて読んだら、
これが面白かった。

「わさび」は日本人が刺身の
薬味などとしてよく食べるものです。
「唐辛子」は韓国人がキムチの
材料としてよく食べるものです。

この2つが好きな両国人の差異を分析して、
比類ない面白さでした。
それ以来、私は呉善花さんが好きになっています。

呉善花さんは、わびやさびに注目しているし、
形のいびつな茶碗を集めて、それらを集める喜びも
知っていますから、日本人の良さを理解していると思います。

飛行機に遅れそうになったとき、
利害関係もないのに一生懸命対応してくれた、
日本のスチューアデスに感激し
(私はそういうときは私もそうするなと思ったし、
私が人にそうして貰ったこともあります)、
それから本当の日本人を理解し始めたのでした。

だから、どういう点が日本の良いところかは
分かっているのでしょう。

しかし呉善花さんが最初にいびつな茶碗を見たとき、
どうして(韓国でもそうだそうですが)西洋のように
バランスのとれた茶碗でなく、
日本人はこんなものを集めるのだろうと思いました。

でも、いびつな茶碗を買って見て、
それを集め始めると不思議な愛着が湧いてきて、
少しずつ違ったいびつな茶碗を集めると同時に、
日本が分かって来たそうです。

その時私は、次のように思いました。
「私たち日本人の当たり前は、世界の当たり前ではないのだ。
そういう私たちとは、
当たり前が違う世界で呉善花さんは育ったのだ。

でも30歳ぐらいから、
呉善花さんは日本を理解し出して来ましたが、
理解したとしても半分は頭で理解しているのだろうな」。
そう考えたら、呉善花さんが日本人を理解したことに、
呉善花さんの韓国的に論理的であることに、
改めて感心しました。

この本を見たとき、2つのことを思いました。
1つ目はこの本が1996年書かれて、
その後「上海」を始め
東アジアは凄く発展してきているので、
大いに国情は変わっているだろうな、ということ。

2つ目は、しかし呉善花さんの論理的な目で見るなら、
それらの国々の本質は正しく読めるし、
本質はそんなに急に変われるものでもないからな、
ということです。
そう考えて、私はこの本を読んでみることにして、
図書館から借りることにしました。

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<この本の構成>

この本の構成は、次の通りです。
( )内は説明されているページ数です。

-1章  上海             (62ページ)
-2章  台湾             (50ページ)
-3章  香港             (52ページ)
-4章  シンガポール         (50ページ)
-5章  消費の現場に何が起きているか (10ページ)

化粧するアジアは、4つの国の街が変わっていく姿を
呉善花さんが、自分の目で見て、
また現地の日系企業の人から話を聞いてまとめたものです。
15年前というと、アジアが成長していることが、
見えてきた頃ですね。

今は、中国が輸出入とも凄くて、
その他の国が霞むようですが。
その中には、資生堂が活躍しているのを書いたように、
化粧品の世界も書いていました。

だから化粧するアジアは、
街が化粧していく様子を書いたものですが、
そこには化粧品の使いようから、
その国の本質と思えることも書いています。

上の4つの国、または市はどれも華人が中心です。
中国の人は外国に出て行って、
華僑としてどこでも活躍しているのが分かります。

化粧品でいうと、国によって
「スキンケアの商品が売れる国」と
「メーキャップの商品が売れる国」に分かれるそうです。
上海と台湾は「スキンケア商品」が売れる国、
香港とシンガポールは「メーキャップ商品」が売れる国と
分かれます。

韓国も日本と同じく「スキンケア商品」が
売れる国だそうですが、
東アジア系は「スキンケア」派、
南の赤道に近いアジアは「メーキャップ」派なのでしょうか。

ちなみに、フランス等は「メーキャップ」派だそうです。
基礎を大事にする国と、
見せ方を大事にする国に分かれるように思えます。

4つの中国系の国を、韓国人の呉善花さんが
見聞を基にして書いています。
一言で言うと面白かった。
それぞれの国(あるいは市)が、
どういう哲学で動いているかが分かります。

4つの国の変化の方向性が分かりました。
改めて、呉善花さんのクールで
論理的であることに感心します。
決して、呉善花さんは右翼でない
(一部で右翼と言われていますが)と思いました。

ただ日本の右系の人に好かれているだけです。
日本の左系の人も、呉善花さんを研究し、
質問もすれば良いと思ったぐらいでした。

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<この本を読んだ感想>

この本は、華人社会の発展する4つの国を語っていて、
私には参考になりました。
どの国も、「女性の社会進出が進んでいること」
「副業を持っている人が多く、可処分所得は、
統計から予測できるものより多いこと」

「外食が多いこと(アパートではキッチンのない
アパートもあるとのこと)」などが、
私が「へー」と思ったことです。
言われて見れば、その理由もよく分かりました。

どこの社会も先進国を追いかけて発展しているので、
一気に最先端の技術、センス、社会インフラを
取り入れており、
少しずつ発展するときに現れる途中経過がなく、
ある意味では進んだ社会が現出しているとのこと。

また、古い町の混沌も共存していたりして、
雑然とした部分もあると言っていました。
今も、日本やアメリカ等のビジネスモデルを
追いかけているのでしょう。

華人社会はどこの国にも共通しているのが、
「血族を大事にするが、基本的に公の組織は信用しない」
との判断基準だそうです。
これは韓国でも似ているそうで、
日本人が公を信じることの方が、
世界の中で特殊なのかも知れません。

何しろ日本人には、お上のやることには
これまで「多少の誤りはあるかも知れないが、
悪いことをしようとは思っていないだろう」という、
変な信頼感があります。

中国を支配して来た民族は、数多くあり、
「文化が根切られている=
庶民は支配者から蹂躙されて来た歴史を持っている
(この文章は馬野周二さんを真似して、
私が勝手に言っています)」ので、

固定した文化、
他人を信頼する文化は育って来なかったようです。
基本的に公は搾取する存在、という
考え方が根強いのでしょう。

こういう考え方から、会社の転職も
アメリカや他の先進国のように、日本と違って多いそうです。
日本の会社は一度受け入れたら、
家族のように扱う文化がありますから、
華人社会で軽く転職するのは本を読んで違和感がありました。

会社でノウハウを教えると、
もっといい条件を求めて転職してしまうので、
教育研修も行えないそうで、
進出した企業の日本人役員は、急に人事部長になった
ようだ(人事に忙殺される)といいます。

日本のようにやはり他人を信頼することが、
社会の発展の前提のような気がしました。
華人社会には、汚職的なことが普通にあるそうで、
役人は自分のポストに応じて、
いかにスマートに賄賂をとるか、腐心しているそうです。

だから今の華人社会は最終的には、
日本に負ける社会の仕組みをもっていると思いました。
日本に追いつき追い越した先では、
中国は自分たちのビジネスモデルを作らなければいけない
ので、そのときが中国の正念場なのでしょう。
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<上海、台湾>

15年前の上海は雑然としていたそうです。
表面のきれいな文化の影で、
昔ながらの雑然とした風景も見られるとか。
人々はそれを当然なことのように、対応しているそうです。
今の上海は変わったのでしょうが、この境界は
少しずつ場所を変えて動いて残っているのでしょう。

中国は13億人を抱える(日本の約10倍強です)、
大きな国家です。
中国の1割が動けば日本全体が動くようなものですから、
その影響は大きなものがあり、
それが今の日本の中国ブームに繋がっているのでしょう。

でも中国は、上海が代表するように、
急激な変化の中にいるので、未来を正確には読めません。
反日騒動や、潜在的な反権力思想、それに民族問題など、
政治はさまざまな難しい問題を抱えて、
舵取りをしなければなりません。

一方、アメリカ的な凄さで、
大きな中国が変わっていることも間違いありません。
そのときエリート集団である、共産党はどうなるのか。
指導者はどう考えているのか。

この本を読んで、今の中国の哲学では、
中国の将来に難しさがあると思いました。
日本の哲学を中国の哲学として行くことが、
中国にとっては必要なことではないでしょうか。

台湾は発展しています。
明の時代に広東などの中国からやってきた人と、
昔から台湾に住む原住民が本省人を構成していました。
そして、中共との戦いに敗れて太平洋戦争後、
台湾に中国にやってきた人が、
外省人でこの人たちが実質的な台湾の支配者です。

台湾では太平洋戦争まで、日本が統治していましたが、
この日本の進んだ教育を受けた本省人を
新たに統治した外省人は、
いろいろな面で遅れていたそうです。

だから本省人の外省人に対する不満は大きく、
その代わり日本に対しては好意的だそうです。
今も台湾は日本を好きだということで、有名ですね。

でも同じ日本に統治された韓国では、
反日感情が強いことから、台湾が親日的なのは、
そういう歴史的な背景とは、
別な理由があるのではないかと、呉善花さんは言っています。

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<香港、シンガポール>

2つとも小さい国です。
何にもしないで、イギリス流に自由にさせるとどうなるかの
実験が香港だったように思いました。

香港はイギリスから中国に戻っても
1国2制度で自由にやっていて、
今も中国の指導者はそういう目で、
香港の動きを見ていると思います。

香港は中国の華僑が、
自分たちの哲学で動くとどうなるかを
今も提示しつけている街なのでしょう。
この本での呉善花さんの香港分析は面白かった。

成立の仕方から、当たり前ですが
香港の人には、香港に対する帰属意識は弱いのですね。
だからその価値観には中国人の考え方が、
色濃く出ていると思いました。

シンガポールは、華人のリー・クワンユーの
人民行動党が一党独裁で、政治主導で教育から管理しました。
徹底したエリート教育ですが、
落ちこぼれた人は、落ちこぼれた人生を歩みます。

エリート教育が徹底されており、
その結果を大事にしていることが、
シンガポールの発展に繋がっているのでしょう。
これも実験をしてきたと私には見えます。

街の道路には、罰金がキツイく、
ゴミが落ちてないそうです。
これを住みやすいと評価する日本人もいますが、
シンガポールには長く住みたくないと言う
日本人もいたと、この本には書いてありました。

「シンガポールは一流国」と、
リー・クワンユーは宣言したそうですが、
安売りのときのみんなが安売り場に殺到するのを見て、
このように道徳的でないのは
一流国としては恥ずかしいとして、
直ぐ「一流国」宣言をリー・クワンユーは
取り消したそうです。

中国人の性格には、エゴが基本的には残るな、
という想いがこの記事からしました。
中国系国家が世界の指導者になるためには、
哲学から変えていかなければならないのでしょう。

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