2016年8月14日日曜日

鈴木博毅さんが書いた、「超入門 失敗の本質」を読んで、読書感想を書きました。

鈴木博毅さんが書いた、「超入門 失敗の本質」を読んで、
2012年8月、私は下の通り、読書感想を書きました。
写真は、本の表紙を、撮ったもの。

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読書感想文(超入門 失敗の本質・・・鈴木博毅)
 
鈴木博毅さんは、愛知県で1972年に生まれ、
<福井医科大学を1年で中退し、慶応大学にいきました。
<そして専門商社にはいり、
<経営コンサルタント会社にはいり、
2001年に独立MPSConsultingを設立しました。
 
鈴木博毅さんは、愛知県で1972年に生まれ、
福井医科大学を1年で中退し、慶応大学にいきました。
鈴木博毅さんは、独立志向が強かったのでしょうか。
専門商社にはいり、
経営コンサルタント会社にはいって自分を鍛えます。
 
そして、2001年に30歳前の若さで独立し、
MPSConsultingを設立しました。
この会社では、高度かつ戦略的なマーケティングを
クライアントに、提供したいと考えています。
そして、机上論でない最強の競争優位戦略をもとにした、
集客マーケティングと広告手法を研究してきました。
 
基本的には、クライアントを満足させるコンサルタントを、
クライアントに提供するのが、
この方のミッションと思います。
しかし著作も多彩で、
本書を20124月に出す前にも、多数の著作を出し、
どれも分りやすいとして定評がありました。
 
著作群は次のもの等です。
「ガンダムが教えてくれたこと」、
「シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術」
(シャアはガンダムの主人公の一人)、
「超心理マーケティング」、
「儲けのDNAが教える超競争戦略」。
 
そういいながら、実は私は、どの著作も読んでいません。
 
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<この本との出会い>
 
私たちのノウハウとすべきベースが、
私は失敗にこそあると思います。
だから「失敗学のすすめ」という本を、
本屋で見つけたとき、これを書いた畑村洋太郎という人に、
私は注目するようになりました。
 
だから、畑村さんが原発事故のあと、
政府事故調査委員長に指名されたとき、
これは政府事故調査委員会がいいことを
してくれるのではないかと思い、そして今も思っています。
 
そして畑村洋太郎さんの本も読んでも、
その通りと思いました。
失敗の集まりは、私たちの貴重な経験集なのです。
これを私たちのノウハウにしていかなければならないと、
思いました。
 
なんでもアカデミズムの世界にぶちこむと、
面白くなくなってしまいます。
しかし、その面白くないことをやる組織を、
2002年に特定営利法人「失敗学会」として、
畑村洋太郎さんたちが立上ました。
 
人間の失敗経験を、
体系的に追求する仕組みを作ったのです。
これを日本の財産にしない手はない、
こういう組織を立ち上げる日本に、
私は日本の底力を感じました。
 
糸川博士が、種子島にロケット基地を作る提案をしたとき、
「失敗するとしたら、こういうケースでしょう」と
沢山失敗の可能性を整理し、提案書にいれたそうです。
そして、これだけ失敗する可能性をわかっているなら、
やらせても大丈夫だろう、と
審査した大先生達は言ったとか。
 
まあ、糸川博士のキャラクターもあって、
そうなったという気もしますが、
その大先生達にもサスガと思いました。
そして今、種子島に日本のロケット発射基地があるのです。
 
戦後ペンシルロケットの開発で有名になった、
糸川博士は、戦前東大を卒業後、中島飛行機に入りましたが、
現場の飛行機を作る作業者たちに、
現場から見た問題点を聞きまわって、
飛行機の設計に生かしました。
 
糸川博士には、失敗の経験を集めるため、
現場に行くことがもっとも大事という見識があったのです。
私には糸川博士が、宇宙人のように見えて、
やたらと言うことを信じる悪い癖がありますが、
それから私は“失敗”こそ、大事と思ってきました。
 
私は実は「失敗の本質」という本は、よくは知りません。
だから、本屋にこの本が並んでいたとき、
超入門とあったので「失敗の本質」には、
ここから入るのがいいだろうと思いました。
だから、この本を買ったのです。
 
WEBで見たら「失敗の本質」は、
太平洋戦争での失敗事例を分析しているのですね。
なぜ日本はアメリカに負けたのか。
 
戦争のときには、日本人のいいところも、
悪いところも露骨に出ているので、
善悪を超えて(当事者には、居た堪れないのでしょうが、
それは恩讐の彼方において)、
ここを分析できるなら最高だなと思います。
 
そして、それに挑戦した人達が先にいて
書籍という形で残していたなんて、素晴らしいと思いました。
ひねくれものの私は、頭の体操をこれから始めるので、
先の戦争について今のところの意見はありませんが、
「失敗の本質」について、この読書がキッカケになって、
意見を持てるなら最高と思います。
 
ガイアの法則Ⅱによると、
太陽と水星と金星と地球が一直線にならぶのが、
144年おきで、この周期の半分ごとに、
西洋と東洋に栄枯盛衰があるそうです。
 
そして800年単位の長期スパンで見ると
別なメカニズムが働いているようですが、
これから西洋が没落し、東洋が徐々に興隆していくとか。
比較的短い100年単位のスパンで見ると、
悪かったときと、良かったときが
144年の1/4=36年ごとに来るそうです。
 
日本の悲劇は、明治維新(フリーメーソンによる
江戸幕府体制の崩壊)=1869年、
アメリカから押し付けられた日米開戦=1941年、
そして今の経済不況=2013年。
 
日本の興隆は、日露戦争勝利=1905年、
日本の経済力が世界を圧倒=1977年、
未来の安定したアジア圏の成立=2049年だそうです。
こういう文脈で見ると、
太平洋戦争での「失敗の本質」も別な側面が見えてきます。
 
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<失敗の本質>
 
この本のタネ本になっている「失敗の本質」と言う本は、
1984年にダイヤモンド社から発行されたものです。
太平洋戦争を象徴する6つの戦争で、
なぜ日本軍が負けたのか、防衛大学校研究者と
組織論研究者の共同研究を踏まえて6人の筆者が書きました。
 
取り上げられた戦争は、
ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、
ガダルカナル作戦、インパール作戦、
レイテ沖海戦、沖縄戦です。
 
当時の外交官の岡崎冬彦さんが、
週刊文春誌上で好意的な書評を載せたことから、
著者達もダイヤモンド社も、
売れることをあまり期待もしていなかったのに売れました。
 
書いた人達は、当時40歳戦後です。
多分アブラが一番乗っていたときなのだろうと、
私は思いました。
「本書のねらい」には、
「失敗の本質」の趣旨が要約されています。
それはほぼ次の通りでした。
 
―1「大東亜戦争は客観的に見て、
最初から勝てない戦争であった」。
―2「各作戦は失敗の連続であった。
それは日本軍の組織特性であった」。
―3「戦い方の失敗を研究して、
組織としての日本軍の遺産を、継承もしくは拒絶する」。
 
この本に書かれた考え方は、
戦争への戦後の日本人達の評価の大勢と、
ほぼ同じと思います。
それにしても、こういう当時若手であった筆者たちの努力を
評価する、岡崎冬彦さんも凄いですね。
 
この時代に失敗とされた戦争について、
踏み込んでそれぞれ評価したのは立派だと思いました。
当然、書けば異論はでます。
戦争のこと、しかも自分達が負けたことは、
誰も書きたくないのが本心でしょう。
 
しかし、自分達の失敗から逃げていてはダメで、
こうして自分達の失敗を書いて、
「失敗の本質」という旗(本)を
最初に立てた人達がいたということは、
日本にとって良かったと思います。
 
これを基礎に極限状態で現れた日本の姿を通して、
「日本とは何か」という観点で自分達の癖を分析し、
さらに成功のためのノウハウを
積み上げ続けなければいけないのでしょう。
 
今までと同じことを言っていては、
ブレークスルーされた新しい日本象は
生まれないのではないかと、私は思っています。
 
だからここに、いろいろな人が
新しい日本人論を追加していってもらいたい
(といいながら、
私は「失敗の本質」を読んでいませんが-笑)。
 
積み上げた結果、最初に書かれた「失敗の本質」が、
見えてなくなるぐらいに、
違った視点がたくさん出れば、素晴らしい。
そう思います。
 
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<この本の構成>
 
この本に書いてあることは、次の通りです。
( )内はページ数です。
 
―序章 日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか? 
(15ページ)
-第1章 なぜ「戦略」が曖昧なのか?   (36ページ)
-第2章 なぜ、「日本的思考」は変化に対応できないのか? 
(30ページ)
 
-第3章 なぜ「イノベーション」が生まれないのか?
 (30ページ)
-第4章 なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか?
 (30ページ)
-第5章 なぜ、「現場」を上手に活用できないのか?
                     (26ページ)
 
-第6章 なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか? 
(30ページ)
-第6章 なぜ「集団の空気」に支配されるのか?
 (31ページ)
 
これは、太平洋戦争に敗れた日本の軍隊の、組織論理、
なかにいた人達の判断基準を分析した
「失敗の本質」の超入門書です。
 
太平洋戦争で日本は、アメリカから広島、長崎に
原爆を落とされて、無条件降伏をしました
(完膚なきに敗れました)。
「失敗の本質」は、その戦争を広く分析したものですから、
日本の弱点がほぼ分析されていると思います。
 
そして、この超入門書は、
ほぼタネ本で言われていたことを書いていると想像しました
(私は、タネ本は読んでいませんから、
本当はそうかどうかわかりませんが、
タネ本を中心的に纏めたであろう、野中郁次郎さんが
この本をほめていますから、そう思いました)。
 
ここに来て世界の電子機器販売戦場で、
日本はマイクロソフト、インテル、アップル、サムスン、
中国・台湾勢等に負けて
今、ソニー、シャープ、松下、日立、NEC、
富士通、東芝、三菱電機などは苦境にたたされています。
 
この超入門書の特徴は、その今の日本の現状を、
「失敗の本質」の考え方で分析しました。
まったく、負けた戦争と同じことが、
また今起こっているのだそうです。
 
同じ考え方で、今を分析しても、
今の負けた理由を書けてしまう。
本質的に、人間はそう変われないということでしょう。
 
ここには、私の印象に残ることが3つ書いてありました。
―1つ目は「KPI」、
―2つ目は「人事」、
―3つ目は「その場の空気」。
 
―1つ目の「KPI」はキー・パフォーマンス・
インデケータの略で、組織が目標とする指標です。
組織全体はKPI目指して動きますから、
KPIにどういう指標を持ってくるかは、
まさしく戦略になっていました。
 
最初のKPIは、実践から作った日本のものが優れています。
太平洋戦争緒戦は。日本の圧勝でした。
しかし、それを研究したアメリカはKPIを、
アメリカが勝てるKPIに変えて行き、
それにより太平洋戦争後半は圧勝します。
 
―2つ目の「人事」は、日本の軍隊では
既存の組織で偉い人が、そのまま偉い人であり続けました。
威勢の良いことを言う人が、
偉そうにしていたのでもあったのです。
しかし、アメリカは実戦で強かった人を、
どんどん登用していきました。
 
日本軍は実戦で失敗しても、いろいろ理屈をつけて
また同じ将軍をリーダにしています。
日本軍では人事面で、
現場からのフィードバックが効きませんでした。
 
―3つ目は「その場の空気」。
「空気」は山本七平さんの「空気の研究」が有名ですが、
これは負けるときには、国によらず、
こういう「空気」になるだろうなと思います。
 
「声の大きい人の勝ち」
「見たい現実以外は拒否して、
希望的観測で議論が流されてしまう」。
これが空気の恐ろしさですが、その恐ろしさと、
その場の空気の判断での誤りの数々が、書かれていました。
 
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<この本の現代的意義>
 
この本との出会いの項にも書きましたが、
同じ事をもう一度書きます。
 
『「ガイアの法則Ⅱ」によると、
太陽と水星と金星と地球が一直線にならぶのが、
144年おきで、この周期の半分ごとに、
西洋と東洋に栄枯盛衰があるそうです。
 
そして800年単位の長期スパンで見ると
別なメカニズムが働いているようですが、
それによるとこれから西洋が没落し、
東洋が徐々に興隆していくとか。
 
比較的短い100年単位のスパンで見ると、
悪かったときと、良かったときが
144年の1/4=36年ごとに来るそうです。
 
日本の悲劇は、
明治維新(フリーメーソンによる江戸幕府体制の崩壊)
1869年、
アメリカから押し付けられた日米開戦=1941年、
そして今の経済不況=2013年。
 
日本の興隆は、日露戦争勝利=1905年、
日本の経済力が世界を圧倒=1977年、
未来の安定したアジア圏の成立=2049年だそうです。』
 
堺屋太一さんによると、東日本大震災は
第3の敗戦(20112013年周辺)だと言っています。
第1の敗戦は、維新前夜における武士の敗戦。
第2の敗戦は、太平洋戦争における日本帝国の敗戦。
これはいみじくも、「ガイアの法則Ⅱ」が
日本で起こった悪いことのほうで言っていることと同じです。
 
そして、堺屋太一さんは、
過去の2つの敗戦で共通していることは、
それを機会に日本人の価値観、
体制が大きく変わったことだと言っていました。
 
価値観、体制を変えることは、沢山の混乱を生みますから、
並大抵の決心ではできず、
外部から強制されないと変化できない面があると思います
(両方とも期せずして、
アメリカ・イギリスが引き金・強制力となっています)。
 
そして2回とも、
その変化によって向かった先の是非はわかりませんが、
その後の日本は上り調子で良くなって行きました。
だから今度の第3の敗戦、東日本大震災をキッカケにして、
再度、日本は価値観、制度を
変える状況ができつつあると言っています。
 
ソニー、シャープ、松下、日立、NEC、
富士通、東芝、三菱電機は、
20年以上前は、世界市場で
LSIや電子機器市場等により圧勝していましたが、
2011年は赤字計上するなど大変な苦境に陥りました。
 
また、円高は高橋洋一さんに言わせれば、
日銀、財務省の無能を表しているのだそうですが、
これが日本経済を圧迫しています。
 
安い中国製品等が日本になだれ込み、
少子高齢化の問題、経済格差
(正規雇用社員と非正規雇用社員等)の
問題も無視できなくなってきました。
さらにときあたかも、道州制の議論が起きています。
 
価値観や戦後体制を変化させるべきときが、
今やって来たのでしょう。
そういう時に、
私たち日本人は過去から学ばなければならないと思います。
 
教材としては、第2の敗戦を分析した
「失敗の本質」は、私は最適のものと思いました。
価値観、体制の変化は、
上部構造(考え方)の変化だけでなく、
下部構造(自分達の生活)も変化させますから、
ひどく抵抗が大きいと思います。
 
過去2回の敗戦では、
アメリカ・イギリスという強制力が働きましたが、
今度は自力で変化していかなくてはいけないのでしょう。
 
「変化すべき状況」と「抵抗」が、抗って
しかも強制力なしで、この時代を乗り越えるためには、
そうとうの叡智が私たちに要求されます。
その叡智を得るためにも、先の敗戦の反省を深めることは、
私たちにとって必須の作業なのでしょう。
 
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<KPI>
 
良いKPI(キー・パフォーマンス・インディケータ)を
作ることが戦略で、戦場でより良いKPIを作れたものが、
敵に勝つといっています。
そして、よりよいKPIを作るためには、
次のステップがあると言っていました。
 
ステップ1 「既存の指標」の発見
ステップ2 「敵の指標」の無効化
ステップ3 「新たな指標」で戦う
 
これらのステップ別に、いろいろな角度から、
太平洋戦争時のアメリカと日本の違いを研究し、
なぜその差が出来たかを分析しています。
多分、それが日本軍の「失敗の本質」に書かれているのでしょう。
 
戦争初期におけるゼロ戦闘機の活躍と、
それに対するアメリカの新たな指標化も書かれています。
太平洋戦争におけるアメリカのレーダの発明も、
KPIとの関係で書かれていました。
 
レーダは日本でも研究はあったようですが、
アメリカ軍がレーダを研究した科学者を大事にした一方、
日本軍が科学者たちや、
レーダを製造する人達を大事にしていないのが分ります。
 
レーダを作るのに必要な資材を、
日本の軍部がまわしてくれないので、
製造現場の人が手当てしたら、
それが違法ということで
逮捕されてしまった話が載っていました。
 
大事な(あとになって見て分ることですが)
レーダの開発にしてもそうですから、
なにをかいわんやと言う感じもします。
 
日本の軍艦のうえから海上の敵艦を監視する人達は優秀でした。
遠くの敵艦を発見し、緒戦の海戦では勝利に貢献していたのです。
だからレーダに対する切実感は、日本軍にはなかったのでした。
その癖、敗戦が濃厚になった1944年になると、
参謀本部は、敵にレーダがあるのに、
日本にはないからまた負けてしまったと言っていたそうです。
 
なにか、当時の軍部は今の官僚と同じだと思いました。
当然、今の官僚にも優秀な人はいるでしょうが、
当時の軍部にも優秀な人はいます。
だから同じことが、個人個人ではなく組織として、
今も繰り返して起こっていると思いました。
 
太平洋戦争初期は、
日本が相手をビックリさせながら、破竹の快進撃をしました。
山本五十六の真珠湾攻撃は有名です。
マレーの虎、山下奉文のイギリスが統治していた
マレーへの進行、イギリス征服も有名です。
 
日本人が精神としてなじんでいる武士道は、
改善には向いているのでしょうか。
この本にも日本軍の凄さとして、
現代の企業の成功と対比させて論じています。
 
日本的指標の
発見(ホンダ製小型バイクの大ヒット)を挙げていました。
当時の日本軍も体験的学習から、
偶然新戦略を発見する技能に極めてすぐれていたそうです。
そして一点突破・全面展開をする。
 
だけど、戦略は「追いかける指標」に求めなければいけない、
とこの本では言っていました。
偶然の発見だけでは、それだけで“お終い”になります。
その指標の追いかけを、
アメリカは効果的に組織的にやっていたのでしょう。
 
結局、アメリカが最初の戦術では負けても、
最終的には戦略的に勝っています。
日本の強さが出た緒戦の戦いが、
最後は裏目に出て、戦略で日本を凌駕していった
アメリカが完膚なきまでに、日本に勝ちました。
 
話は変わりますが、ジョン・ダワーが日米戦争後の
日本を書いた「敗北を抱きしめて」と言う本があります。
私はこの本の全文は読んでいませんが、
日本の戦後の企業・官僚の方法は、
戦前の日本軍部のやり方を踏襲している、
という見方がこの本のなかにありました。
 
それを読んでから、そうなのだろうな、
日本の強さと弱さを日本軍部は持っていて、
それが今の企業等にも
同じように残っている、のだろうと私は思っています。
 
だから、インテルやマイクロソフトやアップルの何に、
今の日本の企業が負けているか、
この本で「失敗の本質」を引きながら説明しているのは、
凄く良く分りました。
 
結局、彼らが先のKPIの作り方を、
基本に忠実にやったことが、
日本企業を圧倒することになったのです。
こういう分析方法があるのだな、と感心しました。
 
++++++++
<現場主義-3現主義>
 
日本が太平洋戦争でアメリカに負けた理由が、
いろいろ書いてあります。
どれもそのとおりと感心しました。
私の個人的経験にも当てはまるのです。
私は大きくこれを3つに分類しました。
 
―1つ目は
「日本が優れている点があったことで緒戦勝ち、
それが慢心を生んだこと」
(多分、それは型の文化、練磨の文化から
アメリカ・西欧より優れたものが生み出せていることから
緒戦勝ったのです)。
 
―2つ目は
「戦術や個々の兵器では当初優れていたが、
KPIを追い掛け回すことをせず、
戦略の変化を生み出すことが出来ず、
結局戦術で勝っても戦略で負けたこと」、
 
―3つ目は
「戦争の変化を読み、
現場からのフィードバックを大事にする姿勢、
を欠いていたこと」
 
―1つ目は、
「驕れるも久からず」の平家物語りを思い出します。
戦後でもD-RAM戦争に世界で圧勝したからと言って、
その勝ち戦に驕っているうちに、
アメリカの企業は新しい戦略を生み出し、
マイクロソフト、インテル、アップル等に、
結局日本のメーカは負けてしまいました。
 
そして基本のD-RAMや電子機器の組み立てでも、
韓国のサムソンの後塵を拝し、
台湾や中国勢にも負けています。
 
―2つ目の戦略性のなさは、
日本のメーカはいつも言われていますが、
これは戦争を意識して、
この「失敗の本質」を
熟読玩味すれば乗り越えられるような気がしました。
 
なにしろ戦国時代を経験した江戸時代の前は、
戦略を扱う兵法が勝敗につながるということは、
戦国大名達の常識になっていましたから。
勿論、諜報の大事さも知っていました。
 
―3つ目の、「戦争の変化を読み、
現場からのフィードバックを大事にする姿勢、
を欠いていたこと」は、
これは意識して対応しなければならないと思います。
 
「測定の技術を高めること」と
「フィードバックの仕組みを作る」のが大事でしょう。
鉄製造で日本が、一時世界一になれたのも、
測定技術とフィードバック体制が、
優れていたからと思います。
 
「鉄は国家也」という掛け声のもと、
当時の日本が優秀な人材を、
鉄製造の現場に送り込んだこともあるでしょう。
 
勝つためには、この「測定する技術」と、
やった現場の結果を「フィードバックさせる技術」が、
大事だということを胆に銘じなければいけないと思います。
 
そして日本軍部の中枢に、
これを大事にする気持ちが薄れていったとき、
敗戦の坂を転がり落ちていったのでしょう。
一部の優秀な人だけが、意識してもダメなのです。
組織として、そういう文化を持たなければ。
 
現場を大事にする企業文化。
それが大事と思います。
現場で想定外のことが起こったら、
よく言われる3現主義に立ち返えらなければなりません。
 
3現主義は、「現場」で、
「現物」をみながら、
「現実」に何が起こったかを確認することです。
「責任者は、現場に足を運べ」なのでしょう。
現場こそ自分達の価値を、生み出すところですから。
 
++++++++
<人事>
 
日本の軍部は戦争の現場で、
リーダであり続けるのにふさわしくない人を、
リーダにし続けました。
これはアメリカの人事が、結果主義であって結果が悪ければ、
即人を交代させていった人事と、対照的です。
 
「失敗の本質」では、悪かった事例として、
日本の人事が語られていました。
軍部も官僚ですから、みんな出世したかったのです。
その人達の心を大事にする人事は平時のときなら、
問題が起こらなかったと思いますが、
戦時のときは致命的結果を齎しました。
 
リーダの判断ミスは、
部下の命を失っていくことに通じるのです。
「和をもって、貴しとなす」の精神
(この精神が、日本人の心のスミっこまで
浸透しているのは、驚くばかりです)で、
なめあい人事が横行し、
ベストの布陣では、戦争に臨めなかったのでした。
 
かえって、戦場でなくバックヤードで
勇ましいことを言う人が、出世していきます。
これを人事で打破することは難しいと思いました。
あなたならどうする、と問われても、
私ならこうしますという答えはありません。
 
少しの失敗で、責任を取らせるのは忍びがたいという、
日本人的メンタリティが私にもあります。
どうすれば、神のような人事ができるのでしょう。
「問題は分った。
しかし、今すぐ回答は示せない」という段階です。
 
そういえば40年以上
サラリーマン生活をして来た私ですが、
私も組織の中でうまくやったとは思えません。
人事はどうあるべきか、
死ぬまで考え続けるのが、私の仕事かも知れません。
 
+++++++++
<空気>
 
その場の空気が、
日本社会で大きな影響を及ぼすというのが、
日本の特徴であると、定説になっています。
 
フィリッピンの戦場で、砲兵隊隊長として戦い、
戦後はB級戦犯としてアメリカに捕らえられ、
収容所生活を送った山本七平さんが、
1977年「空気の研究」を書いて、
一躍、“空気”は有名になりました。
 
私の父親(もう大分前に死にました)は、
衛生兵として中国の南京に行きましたが、
その父親が私の持っていた「空気の研究」を読んで、
「この通りなんだよな」と言っています。
それぐらい、山本七平さんの「空気の研究」は、
戦争に行ったものの実感に近かったのでしょう。
 
しかし私は、これは日本的特徴ではなくて、
負け戦をする組織に特徴的な現象なのではないかと思います。
だから、山本七平さんの「空気の研究」は、
負けるとき組織はどうなっているか、
という観点から読むのがいいのではないかと思います。
 
戦争に負ける時は、
塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでも、
紀元前も同じ状況に陥っていました。
紀元前一世紀の人、カエサル(シーザ)も言っています。
「人は見たい現実だけを見る」。
 
勝者になる人達は、現実を広く見ます。
希望的観測だけで、判断しません。
ファクト イズ ファクトと潔く考えます。
事実からしか、問題は出発しないのです。
 
戦争中、日本の世の中全体が欺瞞的になっており、
希望的観測が横行していたのでしょう。
私の父親が言っていましたが、
栄光の日露戦争後のあの時代、
ほとんどの人が戦争賛成だったようです。
 
戦後の、戦争は一部の軍人だけがリードしたのだという
考えが流布していますが、それも欺瞞なのでしょう。
だから戦前も欺瞞的ですが、戦後も欺瞞的で、
山本七平さんの「空気の研究」に書かれていることが、
そのまま戦後にも通用したのだと思います。
 
だから、一見「空気の研究」に書かれていることは、
日本の特徴のように思われていますが、
それは現実離れがした、敗者が持つ考えが
「空気の研究」に書かれているからだと思います。
 
今、日本人は、戦後のアメリカGHQから教えられた、
「あの戦争では自分達は悪くない。
被害者なのだ。
悪いのは一部の軍人だ」という、
欺瞞から覚めなければならないと思いました。
 
そして、真の勝者の態度を持つ、
日本人に変わっていかなければならないと思います。
それが「失敗の本質」を正しく、読む近道なのでしょう。
どんなにガッカリするようなことがあっても、
ファクト イズ ファクトですから。
 

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