2016年8月21日日曜日

佐藤優さんが書いた、「人間の叡智」を読んで、読書感想を書きました。

佐藤優さんが書いた、「人間の叡智」を読んで、
2012年8月、私は下の通り、読書感想を書きました。
写真は、本の表紙を、撮ったもの。

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読書感想文(人間の叡智・・・佐藤優)
 
<佐藤優さんは、1960年1月に東京で生まれ、
<浦和高校から同志社大学神学科に行きました。
<それから外務省に入り、ロシアに行きましたが、
<モスクワ大学で講師もしており、ここで培った人脈は、
<佐藤優さんの付き合った人への献身もあり
<深いものとなっています。
 
<代議士の鈴木宗男さんの逮捕と一緒に逮捕され、
<外務省職員を失職し、今は文筆家となっています。
 
佐藤優さんのお父さんは、戦争中は満州で働き、
戦後は日本に戻って沖縄の米軍基地に働きに行きました。
お母さんは沖縄の久米島出身ですが、太平洋戦争中、
沖縄本島で看護士として悲惨な沖縄戦を経験し、
さらに久米島に帰って多くの知人の戦争での死に遭遇します。
 
お母さんはこの体験から、キリスト教に帰依しました。
2人が出会って、紆余曲折はあったのですが、
結婚してお父さんのいた東京に来ます。
佐藤優さんはお母さんの影響もあって、浦和高校から
キリスト教を学ぶため同志社大学の神学部に行きました。
 
同志社大学神学部の2階にあった、
神学部の学生がたむろしていた
「アザーワールドという部屋」が多分 
梁山泊みたいなところで、
佐藤優さんにあっていたと思います。
佐藤さんはここで神学等の議論を深め、成長したのでしょう。
 
また卒論では、チェコのフローマトカ
(プラハの春<1968年結局ソ連の軍治介入で
挫折したチェコの党を主体とした運動>の
理論的な面の指導者です)を研究しており、
この人に近づけるならと、
ノンキャリとして外務省に入りました。
 
行き先はチェコとは違って、ロシアのモスクワで働きます。
モスクワに赴任する前モスクワを知るため、
1987年モスクワ大学で学びましたが、
そのときの先生方の印象が良かったのでしょう。
 
ソ連崩壊後のロシア・モスクワ大学が、
プロテスタントの教育を始めようと思った1991年に、
教師に佐藤優さんを迎えようと、
佐藤さんに白羽の矢を立ててきました。
 
そして佐藤優さんは、モスクワの日本大使館内の
根回しを終えて、モスクワ大学の教師になります。
そして佐藤優さんは親身に、自分が関わった生徒達に教え、
心の底から心配し自分の意見を言い、
可能な範囲でバックアップしていきました。
 
それは、佐藤優さんの利害を超えたものだと思います。
それはお付き合いしたロシアの人にも、すぐ分りました。
だから佐藤さんは、
損得だけを考えることが多い一般が考えている以上に、
ロシアに人脈を築いています。
 
なにしろモスクワ大学の生徒は、
ロシアのエリート達ですから、
その人脈は今も役にたっているのでしょう。
 
1991年、ソ連から独立したバルト三国への
日本特使としてモスクワへ来た、
鈴木宗男氏の通訳などを勤めました。
それから、鈴木宗男氏との関係が深まり、
佐藤優さんは最終的には、外務省内で
彼の立場以上のポストの仕事に着くようになります。
 
これは、外務省の一般のオーソリティには
面白くなかったようで、2002年鈴木氏が逮捕されると、
それと歩を合わせて、外務省が作った罪で、逮捕されました。
佐藤優さんの逮捕後2005年に書かれた、
「国家の罠」という本にはこのことを書かれていて有名です。
 
それによると、
罪は外務省によって作られたと書いていました。
2009年罪が確定し、
佐藤優さんは外務省職員も失職し、
今は文筆1本でたつ、文筆家になっています。
 
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<この本との出会い>
 
私は佐藤優さんの本を読むようになったのは、
ここ5年ぐらいと思いますが、
本の内容がやっと最近、思白いと思うようになりました。
優秀な外務省の職員なら、
諜報にかかわることが多いのは、職業柄と思います。
 
したがってこの人は、
本で諜報のことを書いていることも多いのですが、
私は諜報の本からこの人の本を読むのを始めました。
そしたら、これが面白いのです。
そしてこの人の普通の本も読んで見ました。
 
普通の本には、難しい神学のことが書いてあって、
結構読むのに疲れます。
が、それもガマンして読みました。
すると、それらも少しずつわかってきて、
最近ようやく面白いと思えるように、なったのです
(まだ、読みこなすまでにはなっていませんが)。
 
本屋にいったら、この本が2012年7月発行とありました。
その時そうか、
そろそろ佐藤優さんを読むのには、いい時だなと思います。
それでこの本を買いました。
佐藤優さんは、私より12年も年下ですが、
その読書量の多さ、睡眠時間の短さは、超人的です。
 
今私が勤める会社の社長の、お祖父さん、伯父さんも、
5年前に読んだこの人の本(なんの本か忘れました)に
2ページぐらいですが出てきて、
昔こんな人もいたと肯定的に評価されていました。
 
一部の人を除いてそんなに有名でないと思う(失礼かな)、
私の今の会社の社長の
お祖父さん、伯父さんを知っているなんて、
佐藤優さんは勉強家だなと思った記憶があります。
それ以来、この人の本を定期的に読むようになりました。
 
それとこの人の本の面白さは、
この人が実際、外務省の実務の現場で
苦労してきたということが背景にあると思います。
サスガに鈴木宗男さんが、惚れた人でした。
評論しているだけの、議論家とは違います。
 
言っている文章が私を理解させれば、
私の頭を元気よく動き出させてくれました。
確かに文章・言葉は、難しいものもあります。
しかし、言っていることはシンプルなのでしょう。
だから文章を理解できると、
その文章は私を変えてくれるのだと思います。
 
限定した話になってしまいますが、
最近読んだ佐藤優さんの本には、
「今こそマルクスの資本論だ」とありました。
資本主義に破れた共産主義を代表する本の
「資本論」なんて、もう古いと私は思っています。
 
だから言っていた意味が分からなかったのですが、
この本に書いてあったのを読んだら、
その意味が分かって嬉しくなりました。
名著は読み方によって、右でも左でも複数の方向に、
読めてしまうのが特徴だそうです。
 
この資本論もそうした読み方の一つ、
「これは資本家の見習いの人間のために書いた本だ」
と理解すると、凄く具体的だと書いてありました。
 
なるほど、共産主義を代表するものが
資本論だと思っていた私には、
マルクスの資本論の意味が今まで分かりませんでしたが、
こう考えたら少し分ります。
そしてマルクスの資本論を、
こう読み解いている宇野経済学が、
佐藤優さんは正しいとしていました。
 
私は、主義も主張もない人間ですが、
若いとき(20代後半)に社会党友
(成り行きでなったので、似非かも知れませんが)
になったことがあります。
 
だから社会党の理論的バックボーンになった、
宇野経済学をほめてもらったら、
内容も理解できないまま嬉しくなりました。
違っているかも知れませんが、そういう気分でいます。
 
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<この本の構成>
 
この本に書いてあることは、次の通りです。
( )内はページ数です。
 
-第1章 なぜあなたの仕事はつらいのか (31ページ)
-第2章 今世界はどうなっているのか (44ページ)
-第3章 ハルマゲドンを信じている人々 (30ページ)
-第4章 国体、資本論、エリート (34ページ)
-第5章 橋下徹はファシストか (26ページ)
-第6章 いかに叡智に近づくか (37ページ)
 
この本は、佐藤優さんが語り下ろしたものです。
それを文芸春秋の3人の人が役割分担をして、
協力してつくり上げました。
 
1.質問する人 
2.文章にする人 
3.佐藤さんが困ったとき佐藤さんにアドバイスする人 
の3人です。
合計4人で、この本を作りました。
 
「もっと分りやすく書いたものが欲しい」と、
日本人や、日本語を解する外国人から、
佐藤さんが言われています。
この本を4人で分担して書いたのは、佐藤優さんの本を、
大勢の人の見方をいれて、易しくしたいという
思いが4人にあったからでしょう。
 
「それは易しいほうがいいな」と、私も思います。
私にも佐藤優さんが駆使する
プロテスタント神学の言葉などは、
難しいと感じていましたから。
 
話は本題に入りますが、
「まえがき」に、このエッセンスがありました。
そこには、次のように書いてあります。
 
世界は19世紀末から、
20世紀にかけて帝国主義の時代でした。
第1次世界大戦も、第2次世界大戦も、
この帝国主義国の激突です。
 
今また、戦後の冷戦構造の崩壊
(ベルリンの壁の崩壊に象徴される)を経て、
新しい新帝国主義の時代に入ったとのこと。
今度の帝国は、米国、西欧(EU)、
ロシア、中国、日本の5つ
 
(実は、佐藤さんは帝国を、
こうだとは言い切っていませんが、
ロシアのプーチンさんは、
世界の帝国センターはこの5つだと考えているようです。
分りやすいのでプーチンさんの多分考えていることに、
ここでは従いました)に、それに連なる他の国です。
 
新帝国主義も、帝国主義と同じ、
「弱肉強食」の世界だとのこと。
 
基本は自分達の国のことしか考えてないで、
国際関係に横車を押してくるが、相手の抵抗にあったり、
それはやりすぎだという世界の批判があったりすると、
横車を押すことが得策でないと判断し、
すぐ引っ込めるそうです。
 
帝国主義のルールもありましたが、
新帝国主義にも新しいルールがあるとか。
この新帝国主義の新しいルールの世界で、
日本が生き延びていくため
(少なくとも他の帝国主義の国から日本が食われないため)
に、佐藤優さんは考えています。
 
生き延びるためには、
神、愛、家族、民族、国家などが、
我々に対して何を語っているかについて、
虚心坦懐に耳を傾け、その内在的論理を
捕まえなければならない、と言っていました。
 
この内在的論理の理解から、
生き残りのための叡智が生まれてくるというのです。
なぜ「神、愛、家族、民族、国家」なのか、・・・。
佐藤優さんは何故とは聞いても、
「すぐには出てこない」と言っていました。
 
多分それは、
ここまでさまざまな場所で生きてきた佐藤優さんのカン、
あるいは肌触りから出てきたものなのでしょう。
 
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<第1章 なぜあなたの仕事はつらいのか>
 
ここには冷戦前と今では、
世界の競争のルールが変わったと書いてありました。
新しいルールになったなかで、
この章のタイトルにある「なぜあなたの仕事はつらいのか」
という質問になっています。
 
どうルールが変わったのでしょう。
それは1990年までの、米・西欧を中心とした「西側陣営」と、
ソ連を中心とした「東側陣営」で成り立つ
冷戦構造の時代には、資本主義に共産主義という
アンチテーゼが、バランスしていました。
 
この間、資本主義国には共産主義国に
負けるなという発想があり、
これが「賃金の下方硬直性
(賃金は下がらない)」を生んでいます。
「賃金の下方硬直性」は、
コスト・プッシュ・インフレも生みました。
 
しかし冷戦構造は1991年、
(共産主義の負けで)崩壊します。
そして、資本主義に共産主義という歯止めがなくなりました。
賃金の「下方柔軟性(賃金の低下圧力がある)」が、
見られるようになります。
 
先進国の資本家は、コスト面で有利なら、
後進国等に仕事を移すようになりました。
それが
「あなたの仕事をつらくさせる」ようになったのです。
 
「正規社員」「派遣労働者」
「外国人労働者」「就職難民」の
4つのタイプの労働者が生まれたそうですが、
資本家から見ると、これら労働者を上手に使い分けるのが、
新たな競争に勝つ条件になりました。
 
共産主義という資本主義の歯止めがなくなって、
冷戦後、資本主義が社会に猛威をふるうようになっています。
これが「今こそ、資本の論理を分析した
『マルクスの資本論』を読め」という、
佐藤優さんの論理背景でもありました。
 
帝国はそれぞれグループを作って、
グループ内での保護主義を目指しています。
 
TPPの問題は、日本がTPPに入って、
「環太平洋の国々(アメリカ、オーストラリア、
ペルー、インドネシア、シンガポール等)と
関税をなくして、そのグループ」となるか、
 
日本がTPPに入らず、
「今までどおりの枠組みで、中国等とグループ」
を作っていくかの、
保護主義のグループの選択だと言っていました。
 
移民をどう考えるかの、問題もあります。
それらを総合的に考えて、佐藤優さんは、
TPPに日本は入るべきと考えているようでした。
個別の「日本の米や農産物」等の問題は、
その枠組みの中で個別に
外交交渉をすればいいと言っています。
 
世界が新帝国主義時代に入ったことを理解し、
そのルールを押さえて、
自分の判断基準をもたなければいけないとも、
佐藤優さんは言っていました。
 
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<第2章 今世界はどうなっているのか>
 
帝国は悪い制度というのが、
日本の常識になっていますが、
世界でむしろ平和に情勢が進んでいるのは、
共和国よりも王様がいる国で、
帝国が即悪いわけではないと、佐藤優さんは言っています。
 
そういえば私は、塩野七生さんの
「ローマ人の物語」を読んで、偉く感動しました。
そのなかで、紀元前1世紀カエサル(シーザ)は、
それまでの元老院が牛耳る共和国では、
大きくなったローマを統制できなくなったと考えています。
 
そしてローマを帝国に変えることを夢見て、
いろいろな手を打ちました。
しかしカエサルは、ブルータス等に暗殺されます。
が、結局ブルータス等も殺され、
カエサルの養子のオクタビアヌス=アウグストヌス
(カエサルの妹の子)が、帝国を実現し皇帝となりました。
 
アウグストヌスはローマ帝国で、
パックス・ロマーナ(ローマによる平和)を実便しています。
そしてローマは、その後も長く続きました。
 
20世紀前半までの帝国主義時代は、過ぎ去っています。
しかし第2次世界大戦後できた冷戦構造が、
1991年崩壊しました。
そして今新しい枠組みが、世界に出来つつあります。
 
異様に思われるかも知れませんが
結局、世界の趨勢は新帝国主義の時代に向かったのでした。
そして新体制に向けて各国が混沌しているように見える今は、
この新帝国主義の論理、ルールを
理解しなければならないときだ、と佐藤優さんは言っています。
 
そういうなかで、中国はどういう情況にあるのか、
アメリカはどうなっているのか、
ロシアはどう考えているのか、
イギリスはどう動いているのか。
各国の内在的論理を、佐藤優さんは整理しています。
 
中国は、今ネーション・ビルデング(民族形成)のときと、
佐藤優さんは言っていました。
民族形成には、敵が必要です。
ロシアもアメリカも中国の敵になる可能性がありましたが、
両国はうまく避けて、今中国の敵は、日本で固定しました。
 
「歴史教科書の問題」、「靖国の問題」、
「尖閣の問題」、「南京大虐殺の問題」と、
日中間の問題が次々と表れますが、
これは中国の今の民族形成のために必要なので、
中国の必要性から、次々と新たな問題が現れると言っています。
 
しかし、中国はこの民族形成に失敗するだろうとも、
佐藤優さんは言っていました。
 
「ウイグル、チベット、回族、
イスラム地域、内モンゴル、これらを糾合できる
新しい統合の神話をつくることは、多分できないと思う。
民族形成は、民衆の運動ではなく、文化エリートの運動ですが、
中国のパワーエリートがこれらを達成できるか」、
目が離せないと言っています。
 
出来ないときの問題を、毛沢東も理解していました。
すなわち毛沢東は、資源は少数民族の地域にあり、
人口は漢族の地域にあると言っているのです。
中国は見通しが立ってない状況で、
軍拡だけが着実に進んでおり、
これが不気味と佐藤優さんは言っていました。
 
中国自身が何に怒っているのか分らない怖さが、
中国にはあるそうです。
そのなかで、原子力空母の建造に向けて、
中国はやりはじめました。
 
中国は外から見ても、実は中国の人自体も、
どこに向かって走っているいのか分らないのだと思います。
だから佐藤優さんのインテリジェンスでも、
中国の将来は読めないのでしょう。
 
アメリカは、大統領という皇帝がいます。
そう解釈すると大枠で見れば、
アメリカも帝国と言えるそうです。
アメリカは、ズーと
プロテスタントとユダヤ教でやってきました。
 
プロテスタントにはユニテリアンという
有力な宗派があるそうですが、
これはキリストその人の捉らえ方で、
ユダヤ教と似ているので、
大枠で、こうとらえていれば良かったそうです。
 
しかしカトリックのケネディが1961年大統領になり、
2009年には黒人のオバマが大統領になりました。
この2人の大統領で、アメリカの指導者は
宗教、人種の枠を超えたのですが、
これは国家の生存本能がそうさせたと、
佐藤優さんは言っています。
 
枠を変えることが必要なぐらい、
新しい帝国主義の力学は、
古い帝国主義から変化しているのでしょう。
 
ロシアはプーチンが大統領になって、
これが実質の皇帝を目指しています。
 
将来大統領が変わるとき、
プーチンの血族があとを継ぐとは思いませんが、
誰が大統領になっても
この皇帝を目指した体制は変わらないだろうと、
佐藤優さんは言っていました。
 
ロシアでも大統領の対立候補はいましたが、
(私は詳細には触れませんが)それぞれ意味があると、
佐藤優さんは言っています。
 
今度のロシア大統領選挙では、
社会院というロシア版「大政翼賛会」がありましたが、
ここにいる佐藤さんの昔の教え子は、
プーチンはこんどは
憲法改正を目指しているのだと言っていました。
そして大きくは
昔のロシア帝政への復活を、目指しているのだそうです。
 
ヨーロッパのことは、ここでは触れられていません。
しかし佐藤優さんは、日本のインテリジェンスは、
イギリスとイスラエルに学ぶべきであろうと言っています。
そして、これまでのイギリスの植民地での動き、
ヨーロッパでの動きを説明していました。
 
ここで実念論、唯名論について、
これらは何か、どうやって出てきたかを説明し、
世界が実念論から唯名論に移っていったなかで、
実念論がイギリスのオックスフォード大学と
チェコ(ボヘミア、プラハの春、
フローマトカのチェコでもあります)のカレル大学に、
最後まで残っていったのを説明します。
 
日本も実念論的だと言っていました。
私は「実念論」、「唯名論」のことは良く分りません。
しかし、端折って結論だけを言えば、
今の世界は主として「唯名論」で動いていてきているそうです。
 
そして「唯名論」からは、
近代を支配している“契約”と言う概念も生まれてきました。
しかし、佐藤優さんは、
「実念論」について、次のように言っています。
 
――私は、これからは世界的に実念論の時代がくる予感がします。
目に見えないが確実に存在する何かによって
国家を成り立たせようとする、
目的論であるとか、リアルなもの
(実念論でいうリアルとは目に見えないもの)とか、
 
ここ数十年くらい古い時代の残滓であるとして、
語るのもおぞましいとしてきたものが、
新・帝国主義の時代においては逆に、
すごく力を持って行くのではないかと思います。 
 
国家が利益を追求する背景には、
それを突き動かす目に見えないものが存在するからです。
それを見据えたインテリジェンスが必要になります。
 
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<第3章 ハルマゲドンを信じている人々>
 
ここは、結論だけ言うと「イラン」を言っています。
ハルマゲドンを信じていて、世界が壊れるとき、
救世主が現れると考える、
イスラム教シーア派の12イマーム派の急進的セクトから
出てきたアフマディネジャド大統領のイランが、
核をもつのは恐ろしくて、西側は今団結しました。
 
西側はイランに対して、経済制裁も始めています。
そのセクトは、真のイマーム(指導者)が、
霊的な次元にお隠れになっているのが、
今の状態で、ハルマゲドンで世界が終末を迎えたとき、
そのとき真のイマームが出現すると考えているのでしょう。
 
こう考えるのでアフマディネジャド大統領は、
終末を迎える核戦争も恐ろしくないのです。
それは信念ですから、
これまでの世界を作ってきた考え方の、
アメリカ・西欧は恐ろしくなりました。
 
イランには、3つの勢力があるそうです。
1つ目は、ハタミが率いるアヤトラといわれる聖職者群。
ここがもっとも、
石油とかペルシャ絨毯等の利権を握っていて、
腐敗しているそうです。
 
2つめが、アフマディネジャド大統領の
12イマーム派の急進的セクト。
ここは清潔なようで、だから国民に人気があるのでしょう。
3つ目が、イスラム革命防衛軍です。
 
イラン国正規軍は徴兵制で、
戦力はたいしたことがないとのこと。
イスラム革命防衛軍は志願兵で連度も高く、
待遇も良いそうです。
 
ホルムズ海峡の閉鎖を、
世界に向けて言ったのも、この防衛隊の幹部でした。
この3つが絡んで、
常軌を逸する権力闘争が行われているのが、
イランの実情のようです。
 
中東で一番民主的な選挙をやっているのは、
イランとイスラエルだとか。
その民意があの国をやっつけろと言って、
為政者がその民意に逆らえないなら、戦争を防げない。
 
イランとイスラエルはそういう
抜き差しならない情況になってきました。
民意が好戦的になっているのです。
それに、イランにはハルマゲドン思想があるのですから、
それはアメリカ・西欧の国々は恐ろしい。
 
イランの核をめぐり、
アメリカ・西欧の国々は団結しました。
どうなるのでしょう。
 
世界の表で叫ばれていることと別に、
インテリジェンスの世界の常識があります。
世界では、私たちが知らないことが、
平然と行われているのでしょう。
 
西側のインテリジェンス組織による、
イランの核施設の破壊で、北朝鮮の技師が数人殺されたとか。
様々な組み合わせが、
金儲けの新帝国主義の考えでは、起こっています。
すでにか、もともとか分りませんが、
みんな新帝国主義の考え方て、水面下では動いていますから。
 
++++++++
<第4章 国体、資本論、エリート>
 
太平洋戦争後、
アメリカは日本の国体を破壊しようとしました。
それは日本では大方成功し、
ある意味欺瞞的である戦後の日本が生まれています。
しかし、アメリカでは、
この国体を研究する動きが、日本以上に行われました。
 
日米安保は、日本が無意識に国体を維持できるよう、
アメリカが日本に軍隊を提供したと言っています。
だから、日本の保守は
対米追従になったとも言っていました。
 
それに、日本語のローマ字化が
東大の先生によって画策されました
(戦後は、アメリカの言うとおりするのが、
結果オーソリティになるので、ほとんど無意識のうちに、
日本の大半の組織・人は、アメリカに迎合し、
今から思うと売国奴のようなことをしていたのです)。
 
しかし、これは結果失敗して、
今の日本の本文化を産んでいると、
佐藤優さんは言っています。
 
マルクスの資本論を、戦後の左翼は、
佐藤優さんに言わせればとんでもない読み方をしていて、
資本論の本質を読んでないと言っていました。
だからマルクスの資本論の本質を、
日本の左翼で理解している人は少ないそうです。
 
そして、冷戦構造の崩壊で、資本主義が跋扈し始めて、
資本主義の悪さが純粋に出始めたいま、
マルクスの資本論を
「日本人は今こそ読め」と、言っていました。
 
そのときの読み方は、
宇野経済学の「資本論」の読み方が正しいので、
この方法で読むといいそうです。
 
議員代議制は、もともと一般庶民は、
エリートに政治のことは任せたという制度だそうです。
だからエリートとそうでない私たち一般庶民を、
選挙で分けたとのこと。
 
それを、すべての政治にポピュリストである、我々が
口を出す今の志向は、WEBの発達で
やりやすくなったとはいえ、問題だといっています。
これは、エリートがエリートの機能を
今働かせていないのも遠因に一つとも言っていました。
 
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<第5章 橋下徹はファシストか>
 
橋下徹さんは、私は分りません。
でもいろいろな人の意見を聞くと、
そのベクトルはまだ定まっていなくて、
化ければ日本をうごかすようになるだろうし、
今のままでは未熟さが目立つとのこと。
 
素直な発想はしているし、
偽善的であった戦後日本を壊そうとしているのは、
見えるとの事。
 
田原総一郎も言っていました。
橋下徹さんを批判する人を、
集めて意見を交換したが、橋下徹さんから
「それではあなたならどうしますか」と聞かれて、
誰も答えられなかったとのこと。
 
インテリたちは、そうでした。
戦後の欺瞞をかなぐり捨てて、前に進む橋下徹さんに、
戦後の欺瞞で理論武装をしてきた人達は、
その前提を外されると負けてしまうのでしょう。
 
佐藤優さんは、
橋下徹さんと、民主党政調会長の前原さんに注目しています。
二人に共通することは、二人とも女手で育ち、
苦労して早稲田大学あるいは京都大学に行ったこと。
 
橋下徹さんは子どものころ、両親が離婚しました。
前原さんは、子供のころ父親が自殺しています。
だから母親は、苦労して二人を育てたので、
十分なことをしてやれなかったが、
二人は奨学金を使って勉強していきました。
 
佐藤優さんは次のように言っています。
 
――物語をつくること、
ストーリーテリングの能力が必要なのです。・・・
アナロジーとかアイロニーとか、
いままでは見えなかったような力です。・・・
そういう意味では橋下氏は面白いし、
民主党の前原氏は十分面白い。・・・
 
彼らは子供のころに苦労しているから、
物語を作り出す潜在能力がある。
自民党は二世議員がふえて、
そういう力がなくなってしまったのが、最大の問題でしょう。
 
++++++++
<第6章 いかに叡智に近づくか>
 
本を読め、考えろというのが、
この章の結論のような気がしますが、
私がそうだろうと思ったことを3つ引用して、
この本の感想をおわります。
 
――そこで私が必要を強く感じるのが、
階級としてのインテリゲンチャの重要性です。
かつての論壇、文壇は階級だったのです。
編集者も階級だった。・・・
時代の圧力に対抗するには
こういう中間団体を強化するしか道はない。
 
――田辺元が、・・・
中学校の先生を集めて哲学講座を開いた・・・
 
「はじめに言葉ありき」というのはギリシャ的な発想で、
西洋哲学の根源です。
アリストテレスにも、
存在は語られるものだという前提がある。
ギリシャの存在学が
言葉と離れられない関係をもつことが認められる。
 
「はじめに心あり」はヘブライ的な発想。
旧約の神が世界を自分の全知全能によって
造るという意志、心です。
「はじめに力あり」は
交錯的な人間の原理で近世の発想です。
 
そして「はじめに行為あり」は
歴史主義の現代にあたるといったのです。
「はじめにあるのは行為である。存在の原理は行為である」と。
 
「言葉」
「心」
「力」
「行為」
この話でとても良いと思うのは、
内在的論理とはこの4つからなるからなのです。
 
人をみるときまず言語、論理はどうなっているか・・
次に・・良心的な人だろうか・・
そして、現実に実現する力があるかどうか・・
それらの要素を全部組み合わせて、
現実にどういう行動をしているか。
 
――新帝国の時代に生き残るには、
個人で生き残ることと、国家や社会が生き残ることとの
連立方程式をうまく組み立てることを考えなければいけない。
個人だけでは生き残れないし、
個人がなくて国家や社会もありえない。
 
その連立方程式にうまくはまると、
周りも相当程度支持してくれるのです。

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